![]() |
|||
・コーチング |
|||
【第四回】 子供のやる気を引き出すには 〜自分を大切に思う気持ちを育む〜 これまでは、主に子供の話をよく聴くこと、Iメッセージを使って褒めてやること、そして必要な時には親が自己主張することについてお話してきました。 しかし、「いくら勉強するように言っても全然やる気がなくて、ちっとも勉強しようとしない」というようなケースもあるかもしれません。 第四回目は、このように「いくら言っても勉強しない」子供が様々な活動や勉強に意欲的に取り組むなど、本人の意欲に関わる行動を改善させたい場合はどうしたらいいのか考えてみましょう。 まず、心理学者A.H.マズローの欲求の5段階による動機づけの理論を見てみましょう。 ![]() マズローの説は「人間は生まれながらにして、より成長しよう、自分の持てるものを最高に発揮しようという自己実現の動機づけを持つ存在である(出典;『カウンセリングの話』平木典子著より)」という考え方に基づいています。 つまり人間の欲求は普通は下位の欲求から段階的に満たされていくものであり、修行僧などの特殊な人は別として、この段階の途中をスキップして上位の欲求を追求するようにはならないというのです。 @生理的欲求とは食べる、寝るなどの人間の生命維持に関わる基本的な欲求です。 まず今日を生きていくために必要な欲求が満たされなければ、それ以上のことを求めることはできません。 今日を無事に生きることができて初めて人は明日のことを心配します。 A安全欲求とは、生命の危険に脅かされずに安全に生きていきたいという欲求です。 @、Aとも、今の日本ではいじめや虐待などの特殊なケースを除けばほぼ満たされていると言えるでしょう。 B愛と所属の欲求とは、「愛情が欲しい」「自分の居場所が欲しい」という社会欲です。 家族という名の居場所があっても、そこが愛情に満ちて安心していられる場所でなければ真の自分の居場所にはなりませんから、愛と所属の欲求は満たされません。 ここで必要なのが、第一回目でお話した「子供の話を聴いて気持ちを汲んでやる」ということです。 もちろん撫でたり、抱きしめたりのスキンシップも愛情表現であり、特に乳児期には言葉よりも大切なことですが、幼児期を過ぎてからの子供は親が自分を受け入れてくれているかどうかを敏感に察知しますので、労を惜しまず「聴く」ことをして、安心して過ごせる場所を作っていってほしいと思います。 愛と所属の欲求が満たされると、今度は「自尊心を持ちたい」「周囲からも認められたい」という欲求がでてきます。 C承認欲求と呼ばれるもので、他人から承認されることと自分で自分のことを評価することの両方の意味があります。 ここで大事なのが、第二回目でお話した「褒める」ということです。 子供は褒められることで、「他人が自分を認めてくれている」と感じられるだけでなく、自分の価値を評価して「自分のことを大切にしよう」という気持ちが高まります。 反対に、子供が何かをしたときに「どうして、こんなことも出来ないのよ!」などと言ってしまうと、子供は「親から認められていない」と感じますし、「自分はどうせダメな人間なんだ」と自己否定してしまうかもしれないのです。 「自分を大切に思う気持ち」のないところに、「自分をより高めよう」というような向上心や学習意欲、さらにはD自己実現欲求といった上位の欲求は生まれません。 つまり、子供が意欲的に勉強したり、何かの目標達成に向けて努力するには、「聴いて受け入れてあげる」ことによる親の愛情と「褒めて認めてあげる」ことによる子供自身の価値の評価が大切なのです。 子供のやる気は、周囲との関わり方によって高まりもするし下がりもします。 「言ってもやらないのよ」というのはその場で「言っているだけ」だからであり、当然のことかもしれません。 普段から子供を話を聴いてやり、気持ちを汲んで、認めてやる、この積み重ねがありのままの自分を受け入れて、主体性を持った自立した人間性を育むと言っても過言ではないでしょう。 【第五回】 社会性を身につけるには 〜人や物を大切に思う気持ちを育む〜 |